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ご無沙汰ついでに、公開前ものを紹介。
日本では今週10日(金)から公開される映画 『モアナと伝説の海』(MOANA 2016年 アメリカ) 映画「アナと雪の女王」に続いて、女性が主役のミュージカルテイストの作品。 これも鳴り物入りの宣伝が続いているので 公開日が待ち遠しいひとも多いのではないかな。 メガホンをとったのはディズニーのアニメ黄金期とされる 映画「リトル・マーメイド」「アラジン」でタッグを組んだ ジョン・マスカー監督とロン・クレメンツ監督。 リトル・マーメイドに関しては「海と伝説」という意味で かなりオーバーラップする部分が多いので これらの作品を予習しておくと2割増しで楽しめるかもしれない。 ここからはネタバレが含まれるので まっさらのまま劇場に観にいこうと思っているひとはスルーの方向で。 今回私が観たのはオリジナルの日本語字幕版。 物語を純粋に楽しみたいならば吹き替え版が良いかもしれない。 その理由は後に記すとして 前回のアナ雪と同様、ミュージカルではあるが いやらしいほどの歌押しの演出ではなく やはり上手に作られているといった感想だ。 ほとんどの映画に言えることなのだが 結局のところ、「自分さがし」がテーマ。 アナ雪はエルザの運命と妹との絆で、少し後ろ向きだったが モアナはかなり前のめり。 酋長の娘として将来は民衆を率いていく責任と 言い知れぬ運命に駆られ、海に魅せられていく少女。 理性と本能を葛藤させながら成長していく女性を 南国の明るく楽しい雰囲気で描いていく。 祖先に呼ばれし者、海に選ばれし者。私はモアナ! アナ雪と同様、子供映画的要素が強いので 展開の速さやコミカルな部分は否めないが 幾分、こちらの作品のほうが私にとっては自然に物語が入ってきた。 ただ、同じ海洋民族とはいえ かなり文化の違いがあるので、その部分を埋める作業が スムーズにいけばかなり楽しめる映画だろう。 事実、制作に関しても、昨今のニュースにあるように マオリの団体やニュージーランドの労働党から この作品について苦情が相次いだ。 キーとなるキャラクタの半神マウイについてだ。 やはり民族文化を描くとき、かなり神経を使わないと 必ずこういった軋轢を生む。 「英雄マウイはあんな太っていてナンパなキャラクタではない!」 観てもらえば判るが、彼らがそう主張するのも納得な描き方ではある。 踊りながら自分のことを歌ったり ヒロインに対してイジワルな態度もとるし 考え方も自分勝手で非協力的だ。 もちろん物語が進むにつれ、彼の素性や経緯を知るうちに 彼のキャラクターの本当の輪郭がはっきりしてくるのだが。 現地の人々が神と崇め奉る人物としては、やや力不足のキャラクタだ。 日本で言ったら天照大御神やイザナギ、イザナミが アメリカのアニメ映画でブレイクダンスをしているような感じか? 主役のモアナを引き立たせるために マウイをあのような性質にしなければならなかったのは 制作サイドの意図としては理解できるが なぜディズニーは半神マウイをそのまま実名で登場させたのかが 今回の作品の疑問点のひとつだ。 半神モウイとか勇神マヌーとかもっとファジーに出来なかったか? 昨今、巷ではファッションタトゥーなるものが流行っているが この作品で描かれるタトゥーはマオリ文化では神聖で宗教的なもの。 物語の中でもこのタトゥーが二人を導いていく重要な要素のひとつになっている。 しかしディズニーはハロウィングッズとして マウイのタトゥースーツを販売してしまっている。 これはさすがに気分を害さないわけはないだろう。 「神様をネタに金儲けをしている」と怒るのも無理はない。 英語圏で、キリストの聖痕をグッズ販売しているようなものだ。 苦言だが 創始者、ウォルト・ディズニーは有名な白人主義者。 差別やプロパガンダのためにミッキーマウスが 黒人の奴隷に鞭を振るっていたアニメも過去にはあった。 現在ではそういった過去を払拭する活動を続けて 成功している会社ではあるが こういった民族や宗教的なものには少々疎い感が否めない。 大きな影響力を持つ企業こそ こういったことには緻密に取り組んで欲しいものだ。 まあ、そうは言っても、この映画においては勇者マウイが モアナを助け、世界を取り戻すわけだから 最後まで観てもらえば少しは納得してもらえると ディズニー側は思ったんではないかな、とフォロー。 閑話休題。 アナ雪のレビューでは「氷(こおり)」の表現にて大きく評価したが 今回は「水(みず)」。 氷と一緒でアニメではかなり描くのが困難とされてきたが 見事に再現されていて、溜め息は出ないまでも 「これなら実写でも海ロケ必要ないじゃん!」と思えるクオリティ。 そして今回、それ以上に評価できたのが キャラクターの動きだ。 これはマウイ文化の踊りやフラの意味について表現したかったのだろう。 細かい手脚の動きやそれぞれの表情の抱負さは目を見張る。 モーションキャプチャーだけでは描ききれない部分を 完全にフォローしているあたり、職人のこだわりが感じられる。 まあ、MovieNEXでのDVD販売の好調を見越して 何度でも観たくなるように、あらゆるキャラクターに様々な動きをさせているのだろう。 特に注目したいのは手の動きだ。 踊り以外の部分でも、キャラクタの感情を表現するためにかなり工夫されている。 前述に「字幕スーパーより吹き替えがいいかも」と書いたのはこのためだ。 DVDで買ったなら最初は本編、 そして二回目以降はセリフを話していない 周りのキャラクターの動きや表情 背景の海や船の動きに注目してみるといい。 かなり見応えがある作品に仕上がっている。 そしてディズニー作品といえば隠しキャラだ。 今回、肝になっている「ハート」だが、 これはこの2監督が作ったリトル・マーメイドに出てきた首飾りがモチーフらしい。 ほかにも熱帯魚なども映りこんでいるらしいのでそれぞれ確認してもらいたい。 アナ雪からはオラフの人参とトナカイのスヴェンが参加。 映画「BIG HERO 6」からはベイマックス。 エンディングロールの最後には 次作品に決まったか?と噂される映画「シュガーラッシュ」のラルフが出てくる。 こういった遊び心を探すのもディズニー映画の一興だろう。 もちろんこの作品の監督もカメオ出演するが ネットでは映画「マッドマックス」をモチーフにしたカカモラという ココナッツ海賊の中に二人が描かれているとある。 しかし私が見つけたのは 彼女の住んでいるモトヌイでの生活のシーン。 歌の背景で一瞬見切れる絨毯に彼らが刺繍されている。 総評としては、 異文化の作品ながら、いつでも人間は誰しもが 「私は何のために生きてるの?」と迷いながら過ごしているということが 再確認できる良い作品に仕上がっている。 哲学的ではあるが、女の子が楽しめる作品。 前向きに生きたいときには、少しだけ背中を押してくれる映画。 特に主人公を優しく厳しく導く祖母の存在には感嘆する人も多いだろう。 ちなみに、私が一番好きなシーンは モアナの祖母が亡くなってマンタに化身する描写。 かなりグっときた。 そして、私が一番かわいいと思ったシーンは マウイの変身がうまくいかず シャークヘッド(サメ頭)の状態のときの モアナの表情豊かな顔だ。 あと地と火の悪魔「テカー」は冒頭では全貌を見せずに クライマックスでその姿を明らかにしたほうが良かったのでは?と思ったよ。 エンディングロールが全部終わった後も、一節あるので 劇場で観る際は、最後まで座席に座っているように。 そこで放たれるセリフのためにも 旧作「リトル・マーメイド」は観ておいたほうがイイかもしれないよ。 ね、セバスチャン! ひひっ 追記。 ちなみに、物語の中盤マウイとモアナがフックを取り返すべくモンスターの住処に侵入し ヤシガニ?の化け物と対決するシーンがあるが この部分の音楽と歌はなんとも懐かしい感じがしてちょっと調べてみた。 すると、これは一年前に逝去されたデヴィッド・ボウイへのオマージュだということが判った。 もちろん、2014年にはこの映画の制作が発表されていたので単なる偶然だったわけだが、 こういった不思議なリンクというのが音楽や映画には多分に含まれている。 同じく映画「オデッセイ」のデヴィッドだったり 映画「デッド・プール」のジョージ・マイケルだったり。 またデヴィッドの「Tonight」を聴きなおしてみようかな。
by paranoid_eyes
| 2017-03-05 21:52
| Moviegoer 映画
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